あなたは卓球ラバーの種類と特徴をご存知でしょうか?
卓球ラバーはツルッとした感じのラバーだけでなく、ツブツブのとか色んな種類があるんですよ。また、補助剤やスピードグルーってご存知ですか?以前はOKでしたが、現在は禁止となっています。
補助剤・スピードグルーによる卓球ラバーの不正問題があることをご存知でしょうか?まさに、用具のドーピングと言える行為です。おそらく卓球経験者ではない人は知らないと思います。
今回は、卓球ラバーの種類と特徴、横行している補助剤による不正ラバーについて説明します。
目次
卓球のラバーの種類
卓球には、色々な種類のラバーがあります。おそらく卓球をやっていた、もしくは、やっているという人ぐらいしか分からないのではないでしょうか?
卓球のラバーは、以下のような種類があります。
- 裏ソフトラバー
- 表ソフトラバー
- 粒高ラバー
- アンチラバー
裏ソフトラバー
裏ソフトラバーは、平面で回転がかけやすく、スピードも出る一番多くの選手が使っているラバーです。回転がかけやすい反面、相手の回転の影響を受けやすいという欠点もあります。
男子卓球では、大体が裏ソフトラバーではないでしょうか?
表ソフトラバー
表ソフトラバーは、表面が小さな粒々になっています。表ソフトラバーは回転がかけにくく、球離れが良く、スピードが出ます。回転がかけにくい反面、当然相手の回転の影響を受けにくいです。
表ソフトラバーは、日本で言うと、福原愛選手や、伊藤美誠選手がバックに貼ってますね。
粒高ラバー
粒高ラバーは、表ソフトラバーと同じように表面が粒々になっていますが、その粒々に高さがあります。粒高ラバーを使っているのは、ほとんどカットマンのバックですね。
粒高ラバーの特徴は、相手が打ってきたボールの回転をそのまま返します。例えば、上回転に対しては、下回転で返ってきます。
アンチラバー
アンチラバーは、裏ソフトラバーのように平面ですが、回転がかかりませんし、相手の回転にも影響されにくいです。アンチラバーはほとんど使っている選手を見かけませんし、種類も少ないですね。
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卓球の補助剤は何のために使うの?
卓球をしている人であれば、補助剤について知っている人は多いでしょう。実は私も中学・高校と卓球部に所属していました。補助剤は、英語で言うと、「ブースター」です。
「ブースト」とは、日本語にすると、「引き上げる」、「押し上げる」といった言葉になります。その名詞形が「ブースター」ですね。
卓球のラケットは、木で作られたラケットと、ゴムとスポンジで作られたラバーからなっています。ラケットとラバーを接着するのに、接着剤が使われますが、この接着剤に補助剤(ブースター)が使われるのです。
補助剤を使うと、反発力が強くなり、打球スピードが増し、ラバー表面も柔らかくなり、スピンもかかるようになり、コントロールも良くなるのです。
現在では、補助剤は禁止となり、補助剤を使ったラバーは違法ラバーとなるわけです。
以前はスピードグルーが高校生でも使われていた!
実は、私が高校で卓球をしていたときは、補助剤というものはなく、スピードグルーというものがありました。スピードグルーは普通に卓球用具のメーカーから販売されており、禁止もされていませんでした。私も使用していました。確か、私はバタフライというメーカーから出ていた「ロングチャック」というものを使っていましたね。
試合の日に会場で、スピードグルーをラバーに塗っている光景は別に珍しくはなく、むしろ当たり前でした。私のいた高校では、部費でスピードグルーを購入してみんなで使っていましたね。
卓球をやっていた人であれば、打ってみれば、「コレはスピードグルー使ってるな」と分かるはずです。ボールが弾み、スピードが出るのはもちろんですが、まず音が違います。強打すると金属音のような「カン!」というような音がします。
そして、スピードグルーを使うと、ラバーが膨張するので、ラバーを貼りなおすと、ベロッとラケットからはみ出ます。試合では最初にラケットを交換し、相手がどんなラケットを使っているか確認しますが、相手のラケットからラバーがベロッとはみ出ていると、「あ、スピードグルー使ってるな。」と思いましたね。
卓球のスピードグルー・補助剤が禁止になった理由は?
スピードグルーはプロのみならず、高校生等でも使うことが当たり前という状況の中、以前から人体への影響が懸念されていました。スピードグルーの主成分が有機溶剤です。
そんな中、補助剤を塗っていた日本の選手が意識不明の重体になった事故が起こりました。この意識不明の事故がきっかけで日本卓球協会はスピードグルーは全面禁止となりました。
その後、補助剤というものが出てきました。補助剤は、有機溶剤が含まれていないもので、スピードグルーまでいかないまでも、同じような効果を発揮するものです。
これを受けて、2008年9月からは有機溶剤の接着剤を禁止するとともに、補助剤も翌月からは禁止となりました。しかし、これまでスピードグルーや補助剤を使ってきた選手からすると、ノーマルなラバーでは、以前のようには全然弾まずスピードが出ません。
ルールを破って補助剤を使う選手が出てきたわけです。中には堂々と練習会場で塗る人もいたようです。まさしく用具のドーピングというわけです。実はこの用具のドーピングの判断に使う機械があることはあるのですが、揮発性の低い補助剤だと検査をすり抜けてしまいます。
ですので、簡単に機械で検査というわけにはできないようです。機械で検査できないとなると、選手や指導者のモラルが問われるわけです。
補助剤使用ラケットと補助剤不使用ラケットの打球音の違い
上で、補助剤を使っていると打球音が金属音のような音になると言いました。YouTubeで卓球の動画を見ていたところ、「コレ、絶対補助剤を使っているだろう!」という動画がありましたので、紹介します。
まずは、補助剤を使っていないと思われる動画からどうぞ。
次に、補助剤使用濃厚な動画。
いかがでしたか?違いが分かりましたか?卓球をやっていた人ならすぐに分かるはずです。
水谷隼選手が不正ラバー告発!
引用:水谷隼Twitter
水谷選手は、補助剤問題について、ずっと訴え続けています。補助剤の禁止徹底を求めて、ルール運用が厳格化するまで国際大会に出場せず、ボイコットするという意思を示していたこともありました。
水谷選手がそこまでする理由は、違法な用具を使うことなく、フェアに試合をしたいからです。現状では、ルールを守っている選手が損をする状態ですからね。
水谷選手だけではありません。元世界ランキング1位のドイツのティモ・ボル選手は、「世界の選手の80パーセントはラケットに不正を施している。」と告発しました。
フェアな試合をしたいと考えている選手は水谷選手以外にもいるんですね。その一方で、中国製のラバーは特に補助剤の効果が大きく、中国選手の圧倒的な強さを支えているとの声もあります。
以前、ワイドショーで卓球の補助剤問題を取り上げていたことがありました。そこでは、中国選手に補助剤についてのインタビューもありましたが、何も答えませんでした。
つまり、中国選手はほとんどみんな使っているのでしょう。
補助剤を使う対象は?
上で、ラバーの種類を紹介しましたが、補助剤を使う対象としては、裏ソフトラバーと表ソフトラバーでしょう。アンチラバーはほとんど使う人がいませんし、粒高ラバーを使うのはカットマンの選手だけですからね。
ドイツで不正ラバーを見抜く検査方法を開発!
ドイツで不正ラバーを見抜く検査方法が開発されたという報道もあります。検査の方法は、ITTF(国際卓球連盟)が公認するラバーの弾力や粘度をあらかじめ測定し、その数値と比較することで不正を見つけるというものです。
なるほど。メーカーから発売されているラバーの弾力と粘度と、選手が使っているラケットに貼られているラバーの弾力と粘度を測定し、比較して、大きくかけ離れていれば、不正なものと判断がつくということですね。
しかし、「検査方法が確立しておらず、解決には時間がかかる」ということで、実質的には現在も野放し状態となっているということですね・・・。
最後に
いかがでしたか?
卓球ラバーの種類と特徴、補助剤やスピードグルーについて、理解できましたか?
補助剤問題は野放しにされている状態ですが、そんな状況でも水谷選手は、リオオリンピックで個人で銅メダルを獲得することができました。
卓球に限らず、似たような問題もありますよね。水泳でも過去にSPEEDO社の高速水着が問題になったことがありました。今後、卓球の補助剤問題がどのように解決に向かっていくかはわかりませんが、フェアな条件で戦える環境ができることを期待したいです。